日本の古典文学は敷居が高く思えるけれど、漫画なら気楽かも
図書館に行くと、書店ではみたことのないような珍しい本に出会うことがある。もっとも、最近はよほど面白いものでない限り、長い文芸作品を読もうとは思わないので、ついつい気楽に読める漫画コーナーに足が向く(笑)
しばらく前に、福岡の親戚から赤塚不二夫の描く漫画の古典入門シリーズ 「源氏物語」と「枕草子」をお借りして読んでみたのだったが、これが赤塚不二夫の描き方が上手なこともあり(原作者は怒るかも?笑)、たいへん面白かったので、他にもないかと探すようになっていた。
というわけで、先週の土曜日に「マンガ日本の古典」(全32巻、中央公論社)というシリーズが絵画・芸術のコーナーにあるのを見つけ、とりあえず次の3冊を借りてきた。
マンガ日本の古典1 古事記(1994/11、石ノ森章太郎)
マンガ日本の古典2 落窪物語(1997/10、花村えい子)
マンガ日本の古典6 和泉式部日記(1997/4、いがらしゆみこ)
マンガ日本の古典1 古事記
古事記については、断片的には、因幡の白兎の話や、スサノオのミコトがヤマタのオロチを退治して草薙剣(三種の神器の一つ)を得た話など、 知ってはいるのだが、全体の流れは知らず、今まで本で読もうとしても途中で挫折していた。出てくる神々の数がやたらに多く、退屈になってしまうのだ。今回石ノ森章太郎の手になる漫画では、これはイメージが楽しく、飽きさせないので一気に読むことができた。ところが後書きを読むと、古事記は上・中・下の三巻からなっているのだが、この漫画本はそのうちの上巻だけを漫画にしたとある。
流石の石ノ森章太郎にも三巻全てを漫画化することはできなかったようなのだが、読者としては、古事記の世界を十分堪能させてもらったので、よしとしたい。
マンガ日本の古典2 落窪物語
落窪物語というのは、そもそも題名すら知らなかったのだが、源氏物語よりも前に書かれた世界最古の物語の一つで、継母にいじめられる高貴な生まれの姫が、立派な若君(やがて太政大臣になる)に見初められ、親身に補佐する女官などの助けを得ながら幸せになってゆく、いわば白雪姫のお話のよう。もっとも、白雪姫は魔法が混在するファンタジーなお伽噺であるのに対し、落窪物語は当時の平安京の貴族社会の風習や恋愛観が反映されたけっこう現実味のあるお話だ。この本を読んで源氏物語を読めば、理解がいっそう深まるのかもしれない。
マンガ日本の古典6 和泉式部日記
和泉式部日記というのは、なんとなく高校の時に名前を覚えた記憶があった。三年ほど前に姫路のSpring8の友人を訪ねた折に、姫路城と書写山円教寺にも足を伸ばしたのだが、その円教寺に和泉式部日記の作者と伝わる和泉式部の歌塚があり、急に身近に感じたことが思い出さた。
書写山円教寺(天台宗)全景図
書写山円教寺は、西の比叡山とも称される格式高い寺院
書写山と和泉式部
円教寺を創設した性空上人と和泉式部の歌のやりとりの伝説が伝わる
今回改めてこの写真の説明文をよく見てみると、円教寺を創建した性空上人は敏達天皇の末、橘姓と書いてある。なんということ!、信じる信じないは別にして、我が家に伝わる家系図によれば、始祖は敏達天皇で、橘姓だ。こんなところにも因縁を感じて、和泉式部がさらに身近になった。(信じるものは強い(笑))
本の内容そのものは、和泉式部と敦道親王という実在した二人の人物の10ヶ月に渡る恋愛模様を描いているのだが、どこまで脚色が入っているのかは知る由もないことだ^^;
いずれにしても落窪物語を読み、平安貴族社会の様相を頭に入れた後に読めば、すんなりと和泉式部物語の世界に入っていくことができる。源氏物語はこのマンガ日本の古典シリーズの3、4、5巻になっている長編なのだが、それに比べれば一冊にまとまっている和泉式部日記は、当時の人にも読みやすかっただろうと思われた。
今回古典を漫画で読んでみて、文章だったら絶対読まないものが、こんなに手軽に読めるというのは、言うなれば才能ある漫画家たちが活躍する日本の文化的恩恵だなぁとつくづく感じたのだった。