2024/02/28

手塚治虫を偲ぶ

 知れば知るほどさらに魅力を感じてしまう、奥の深い漫画家



 今のシニア世代なら、漫画といえば手塚治虫の名前を知らない人はいないだろう。そういう自分は、月間誌「少年」に掲載されていた「鉄腕アトム」によって未来社会への空想を掻き立てられ、週刊誌「少年サンデー」の「0マン」や「白いパイロット」などのSFを通して、子供ながらに人生哲学のようなものを学んだ。

 手塚治虫全集なるものが、手塚治虫がまだお元気だった頃、1977年から1984年にかけて、全300巻で講談社から出版されているが、内容は実に多岐に渡り、手塚治虫の精神構造が一体どうなっているのか、その巨大さに圧倒されてしまう。
 手塚治虫全集は、手塚治虫の没後、さらに追加されていて、今や全400巻という。作品は一つ一つが実に読み応えのあるものと言ってよく、まさに「地上最大の漫画家」と呼ぶに相応しい。

 そんな尊敬すべき偉大な漫画家なのだが、手塚治虫が1989年に60歳という若さで亡くなったことを私が知ったのは、恥ずかしながら21世紀になってからで、図書館で何気なく手に取った矢口高雄の「ボクの手塚治虫」を読んで、しみじみその死を悼んだのだった(これについては以前このブログにも書きました)。

 それ以降、図書館などで手塚治虫関連の本が目に付くと借りて読んだり、気に入ると買ったりして今日に至るのだが、最近衝撃を受けたのは、岩波新書にある「ぼくのマンガ人生」という本の最初に手塚自身が書いている、「いじめられっ子」だったという話だ。
 大阪大学附属医学専門部出身で医者としての資格も持っている手塚治虫という人物、そんな人が小学校、中学校では「いじめられっ子」だったとは!?(興味のある方はどうぞご自身でお読みください)
 これは捨て置けない、というので自分でも本を買ってしまった。

手塚治虫著:ぼくのマンガ人生(岩波書店:1997年初版)
実際に購入したのは2023年版(第38刷!)

 この本は手塚治虫の講演記録を編集したものなのだそうだが、漫画の背後にある手塚治虫の思いが詰まっていて、とても魅力的な内容だ。お堅い岩波新書なのが少々意外だが、すでに38刷なのもうなづける。

 この本を読んだことで、再び手塚治虫について知りたくなり、立て続けにまた本を借りてきたり買ったり。
 NHKの100分で名著でも2016年に手塚治虫が取り上げられていたことを知らなかったのだが、別冊としてまとめられたものがこれ。

わたしたちの手塚治虫:別冊100分de名著(NHK出版:2018初版)

 手塚治虫の作品内容をいろいろな切り口で比較し考察していて、驚きと新たな発見がある興味津々の本はこれ。

手塚治虫の奇妙な資料(野口文雄著:実業之日本社:2002年)

 これらの本を読んでいると、つくづく手塚治虫という漫画家がいた時代に、血気盛んな青春時代を送ることができた自分の幸運に感謝したくなるのだった。