ゲゲゲだけじゃない、水木しげるの漫画の凄さ
しばらく前に図書館から水木しげるの漫画を借りて読んだ。もちろん「ゲゲゲの鬼太郎」は知らない人がいないくらい有名で、子供も大好きな妖怪のお話。2010年には、朝ドラとして「ゲゲゲの女房」が放映され、水木しげる夫妻が一気に全国区になった。
だが今回はその「ゲゲゲ・・・」ではなく、水木漫画のもう一つの大きなテーマである戦記物を借りてみた。
今年は戦後80年の節目、先週の4月7日には、天皇陛下ご夫妻が、戦後初めて激戦地だった硫黄島を訪れ慰霊されたという、大きな出来事もあった。
いつも行く地元の白岡図書館には、水木しげるの妖怪ものは多く蔵書があるが、残念ながら戦記物はなかった。しかし、お隣の宮代町図書館に「敗走記」、「総員玉砕せよ!」があったので、この2冊を借りることにした。
これらの漫画は、水木しげるご本人が体験したこと、または戦友の体験したことをベースにして、90%が事実なのだという。ラバウル方面に派遣され、生死を彷徨うような実体験をされているので、描かれている内容は私たちの心にとても迫ってくるものがある。
戦闘シーンだけではなく、最前線の兵士の日常も描かれていて、私たちの日常とあまり変わらないほのぼのとした内容もあるのだが、やはり戦地の最前線では理不尽なことも多く、死と隣り合わせの緊張感も伝わってきて、思わず目頭が熱くなったりした。
ほとんどの兵士は、高い理想に燃えて戦闘に参加しているわけでもなく、さまざまな思いを抱きながら、諦念にも似た思いの中で日々を耐え忍んでいたことが伝わってくる。漫画には勇ましい軍歌ではなく、しみじみとした哀しい歌が載せられていた。
可愛いスーちゃんの歌
後書きに記された文書にも、そのやりきれなさが滲んでいるように思った。
戦後80年、さまざまな行事が行われ、またあの戦争を見直す動きも出てくるだろうと思う。基本的には、虚しく戦地に散った多くの英霊に対し、真摯にその慰霊について考える年にしたいものだ。そして個人的には、母が最初の夫をニューギニア戦線でなくし、生まれたばかりの乳飲み児(私の兄)を抱えて、大変な苦労を経験していることもあり、単純に美化する動きには私は与することができないが、同時にアメリカのGHQによる占領政策により歪められてしまった自虐思考、自虐史観からも、そろそろちゃんと脱却して、自立した自尊の精神を取り戻したいとも思うのだ。




